たとえば、白血病の患者が持病に糖尿病があった場合、血液内科の担当医が白血病の治療をしながら、糖尿病専門医に相談してみることが重要です。「この患者の糖尿病は、自分だけで十分コントロールできる状態だ」と考えた場合でも、糖尿病専門医と相談することによって、患者も担当医も安心で安全な、そして最新の治療につながるのです。そこに質の高い医療があるのです。
■それでも「良医」にお願いしてしまう
ある時、白血病の患者が夕方になって鼻出血があり、担当医が処置しても止血しにくいことがありました。担当医は耳鼻科のS医師に診察をお願いしました。
耳鼻科の医師の中で緊急時の当番が決まっている場合、当然、当番の医師にお願いします。しかし、その当時は当番制がありませんでした。それで担当医は、時間外でも嫌な顔をせずにすぐに診てくれる親切なS医師に依頼したのです。もちろん、耳鼻科の他の医師の技術や腕にはまったく問題はないのですが、気軽に依頼できることからS医師に頼んだようでした。
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