血管・血液を知る

“流血”時に大活躍する「血小板」の機能と役割とは?

交通事故などでの“流血”時に大活躍(C)日刊ゲンダイ

 これがフィブリノーゲン(血液凝固因子=血漿中に含まれる糖タンパク質の一種)を仲立ちにして血小板の働きを活発にして(活性化)、血小板同士の結合(凝集)を進めるのです。こうした血小板凝集が活性化してできた血栓によって、一次止血が成立します。

 しかし、止血はこれだけでは不十分です。そこで第二次機能が働きます。

 血液を固まらせるのに血液凝固因子という13個のタンパク質がありますが、傷口で、凝固因子のお互いの刺激で将棋倒しのように順番に活性化され、最後には第Ⅱ因子プロトロンビン(血液凝固の最終段階で働くタンパク質)が活性化されてトロンビンとなり、これが先の第I因子フィブリノーゲンをフィブリン(繊維上の血液凝固因子)に分解します。この凝固反応を外因性凝固といい、血液や血管にある組織因子の働きで第Ⅶ、第Ⅲ因子が活性化されて反応が始まります。このフィブリンはXIII(血液凝固安定化因子)を介してネット上に赤血球なども取り込み、傷口に確かな血栓を作ります。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

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