上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓の手術を受けた後は「不整脈」に細心の注意を払う

順天堂大学医学部付属順天堂医院心臓血管外科の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 いまはスマートフォンなどの端末やスマートウオッチなどを利用して、手軽に脈拍をチェックすることができます。将来的には、高齢者や術後の患者さんといった対象者の体から自動的に脈拍や血圧などの生体情報を発信し、医療者が遠隔でモニタリングするシステムが導入されるかもしれません。それだけ脈拍は大切な指標といえます。

■シャワーは術後1週間でOK

 ほかに手術直後の日常生活で気を付けるべきポイントは、傷口が開いてしまったり、ケガをしないようにすることです。体を動かす際は、転倒しないように細心の注意を払ってください。

 入浴を不安に思う患者さんも少なくありませんが、いまはシャワーであれば術後5日から1週間でOKが出ます。傷口をゴシゴシ洗うのを避ければ問題ありません。ただ、湯船につかるのは1カ月ほど辛抱してもらっています。また、お湯の温度が熱いと心臓に負担がかかり、血圧もアップします。ですから、お湯の温度は39度程度でぬるめにして、湯船につかるのは5分から10分程度にしましょう。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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