上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

新型コロナによる「医療崩壊」は確実に迫ってきている

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 そんな状況のところに、新型コロナによる重症肺炎の患者さんが運び込まれると、人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)のような高度医療機器の管理のために人手が足りなくなるうえ、設備も不足してしまいます。

■専用病棟の確保も足並みが揃っていない

 新型コロナの重症肺炎に対しては、一度びまん性肺炎に進行するとこうした機器による大掛かりな医療が行われ、いったん始めると最低でも2週間の期間が必要です。それに対応するためには、専属チームを編成するなど本来の病院全体の機能の一部を新型コロナ用に移さなければなりません。しかし、病院単独ではそうした判断はなかなかできないものです。今回は緊急事態宣言が出されたことによって、通常の診療を減らして新型コロナの治療に対応する方針にシフトした医療機関がほとんどでしょう。

2 / 5 ページ

天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

関連記事