がんと向き合い生きていく

家族にうつすと大変だから車中で寝る…医療者の疲弊が心配

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 入院しているコロナ患者の動線はどうする? 患者の肺炎の状態を見るためCT室に運ぶ時に感染を広めないだろうか?CT室の消毒、アルコールが足りない? 次亜塩素酸水を使う?

 患者の呼吸状態が悪くなった。酸素濃度が75%で苦しそうだ。すぐに人工呼吸器につなぐための気管挿管……なかなか入らない。患者のエアロゾルを浴びてしまう医師、看護師……おい! 大丈夫か? さらにお上は「コロナ患者をもっと入院させられないか」と言ってくる。コロナ病棟の再編成? もう、コロナベッド満杯だ。

 病院の某幹部が「私はお上と病院職員の間で板挟みです」という。あなたは病院の幹部でしょう? 職員を守ってください。職員を守れなければ、患者を守れないでしょう?

 某病院は人工呼吸器が不足し、65歳以上は死亡率が高いため人工呼吸器にはつながないことを決めたといいます。まずは若い患者を助けなければならない。かわいそうだけど仕方がない……医師も看護師も悩みながら決断します。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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