がんと向き合い生きていく

家族にうつすと大変だから車中で寝る…医療者の疲弊が心配

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 私たちは今、ウイルスと闘う、感染した患者を診る医療者を称えながら、治療薬やワクチンの開発を待っています。国の対応にイライラしながらも、うつらないように人から離れて、見えないウイルスから逃げて暮らしています。しかし、医療者をはじめ介護サービスなど、人から離れられない方たちはたくさんいらっしゃいます。

 経済よりも、まず命が大切です。生き残れたら、また頑張ってみんなで働きましょう。

 この流行が早く過ぎて欲しい。そしてその後には、国は次の流行を阻止するための防御にお金をかけて欲しい。

 昨年、自宅の狭い庭に1本の小さな柿の木を植えました。今年も小さな葉が見えてきました。私たち夫婦が生きているうちに実がなるとは限りません。それでも、乾いた日には水をやろう。そう思います。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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