■担当医との会話がほとんどないのでは
Wさんは続けます。
「病院にはがん相談支援センターがありますが、とてもそんなところに相談に行く気にもなれません。私は図書館に勤めていて、仕事のことでも周りに迷惑をかけています。私、疲れてしまいました。先生は精神科医ではなく、内科医であることは重々承知しています。でも、がんの患者をたくさん経験されていると聞きました。こんな話をしてしまいすみません」
私はWさんのお話を聞きながら、このまま自分が対応するべきか、精神科医に紹介すべきかを考えていました。多くの場合、直感で「この方は精神科で相談してもらったほうがいい」といった判断がつくものですが、今回は違うような気がします。Wさんは、大腸がんのことをしっかり勉強されていて、その情報も確かなもので感心しました。そして、おそらくY准教授との会話がほとんどないのだろうと思いました。
がんと向き合い生きていく