がんと向き合い生きていく

「治療には納得、でも通院が苦痛…」大腸がん患者の胸の内

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 以前、一緒に働いたことがあるT医師からメールが届きました。高校の同級生だったWさん(56歳・女性)の相談に乗って欲しいというのです。 メールはこのような内容でした。

「Wさんは、3年前にS大学病院消化器外科で大腸がんの手術を受け、現在も同大に通院中です。担当はY准教授で、手術もY先生だったそうです。2年経って、腹腔内のリンパ節に転移でがんが再発し、外来で化学療法中です。2カ月前には肝臓にも転移が見つかったといいます。Wさんはセカンドオピニオンをお願いしたいようですが、今の治療法には納得していて、Y准教授に診療情報提供書を書いてもらうのは頼みにくいようです。仕方がないので、私からの紹介とさせていただきました。まことに恐縮ですが、病状の詳細を知らない私からの紹介状を持たせました。先生にお会いして、ぜひご意見を伺いたいとのことです。勝手なお願いでお許しください」

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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