新型コロナウイルスによる死者は、5月31日時点で約900人(人口10万人当たり0・7人)。欧米諸国の数十分の一にとどまっている。その理由として、日本人の生活様式が有力視されているが、どうだろうか。
今回の新型コロナでは、東アジア・東南アジア諸国でも死者は少なく、日本だけが優等生だったわけではない。しかし今世紀に発生した新型ウイルスの流行を振り返ると、なぜか日本だけ、死者が少ないことが分かる。
2003年には中国広東省でSARSが発生した。中国、香港、台湾など世界約40カ国、約800人の犠牲者を出した。
09年から10年にかけて、新型インフルエンザ(H1N1:豚インフルエンザ)のパンデミックがあった。メキシコで発生し、北米を中心に1万8000人以上の死者を出した。
その後、超過死亡数に基づく再検討が行われ、関連死も含めて全世界で約28万人(中国を除く)が亡くなったと推定されている。12年に発生したMERSは、15年に韓国でアウトブレークし、36人が亡くなった。現在までに全世界で800人以上が犠牲になっている。
第2波に備えよ 新型コロナを徹底検証
<2>日本人がウイルスに強いのは生活様式のせいなのか?
<1>呼吸器だけではない 血液介在の全身感染症だった
- 2020年06月02日
<3>「抗体検査」が陽性でも、だから安心…というわけではない
- 2020年06月04日
永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。