抗体とは、侵入した病原体から生体を防御するために働く「免疫グロブリン」(Ig)というタンパク質で、特定の病原体だけに反応して排除する。「獲得免疫」と呼ばれる生体のシステムによって、病原体にさらされることで後天的に作られる。いくつか種類があり、感染して最初に作られるのが作用が限定的なIgMで、その後にIgGが産生される。IgGは再び同じウイルスが侵入した際はすぐに攻撃して強力に排除する。この状態になれば「免疫が確立した」ということになり、同じウイルスには感染しづらくなる。ただし、今回の新型コロナウイルスの抗体については、まだわかっていない点があって課題は多い。
■抗体量が中途半端だと重症化を助長する可能性
まず、抗体検査で使われる検査キットの精度に問題があると指摘されている。東京大学先端科学技術研究センターは、イムノクロマト法の簡易検査キットで陽性だった人の約90%が精密検査では陰性だったと発表。キットで陰性の人は精密検査でも陰性だったが、ほとんどが偽陽性となると正確なデータは取れない。また、実際は陰性なのに「陽性=感染歴がある=抗体ができている」と思い込んで安心してしまう人が出てくる点も懸念されている。そもそも、本当に陽性だったとしても、現時点では「抗体=免疫ができたから安全」とは言えない。
第2波に備えよ 新型コロナを徹底検証