第2波に備えよ 新型コロナを徹底検証

<3>「抗体検査」が陽性でも、だから安心…というわけではない

新型コロナウイルス感染した患者の血液にできた抗体を調べる大学病院の関係者(ドイツ・エアランゲン市)/(C)ロイター

「新型コロナウイルスは抗体ができたとしても、それで感染を防げるのか、人にうつすのを防げるのかどうかはっきりしていません。また、どんな種類の抗体がどれくらいの量があれば効果があるのか、効果があったとしても一度できた免疫の効果がどれくらい持続するのかもわかっていないのです。新型コロナウイルスと近縁のSARSでは、生きたウイルスに感染した場合、抗体は2年もつといわれているので同程度だろうと予測されています。しかし、再感染や再燃するという報告もあり、確実ではありません」(本間氏)

 また、実験レベルでは、抗体の量質が十分ではなく中途半端だと、むしろ重症化を助長するという報告もある。

「軽症者に比べて重症者のほうが体内の抗体価が高いという報告が多く、抗体は回復には関与していないのではという見方があります。免疫には『自然免疫』と『獲得免疫』があり、獲得免疫はさらに『液性免疫』と『細胞免疫』に分かれ、抗体は液性免疫になります。新型コロナウイルスの場合、抗体はウイルス感染を阻止する中和作用はあるが、回復や症状の悪化は細胞免疫が起こしているのではないかと考えられます」(本間氏)

 現時点では、新型コロナウイルスの抗体検査でわかるのはあくまでも「感染したことがあるかどうか」だけで、抗体があっても安全とはいえない。勘違いは禁物だ。

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