役に立つオモシロ医学論文

社会・心理的要因がもたらす健康リスクは侮れない

離婚歴で死亡リスクは1.44倍に

 その結果、死亡のリスクは、喫煙者で1・91倍、過去の喫煙歴で1・32倍、過度の飲酒歴で1・36倍に増加したほか、離婚歴で1・44倍、失業歴で1・32倍、経済的困窮で1・32倍、人生に対する満足度が低い人で1・31倍、否定的な感情を有する人で1・23倍、統計的にも有意に高いことが示されました。

 この結果が示しているのは、喫煙歴や過度の飲酒のような、よく知られている健康リスク要因と、一見すると健康とはあまり関係のなさそうな社会・心理的要因が、ほぼ同レベルの健康リスクである可能性です。人の健康状態は医学的なケアや生活習慣だけでなく、生活を取り巻くさまざまな社会環境や心理状況によっても変化しうるといえるでしょう。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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