「最期は病院じゃないと難しいのではないかというケースがあると思っているのは、患者側も同じです。まずは在宅医療で看取りができる選択肢があることや、病院と在宅では看取りの仕方が違うということを知ってもらえたら、と思います」
それぞれの人生にはさまざまな事情があり、価値観も多様だ。その時々で気持ちも揺れ動く。だが、自分で判断ができるうちに、どのような最期にするかを考えておくべきだ。
「私は人生の最終段階で、痛さやつらさを和らげて生きがいを奪わないケアを受けられる在宅医療を選択したいと考えています」
それが1980年代から在宅医療に関わってきた蘆野さんの理想の最期だ。
(取材・文=稲川美穂子)
在宅緩和医療の第一人者が考える「理想の最期」