進化する糖尿病治療法

起床時の頭痛とだるさ、日中の眠気は「小顔」に原因あり

やせ型で小顔でもSASのリスクが高くなる(C)日刊ゲンダイ

 SASは、肥満の人に多い病気という印象が強い。しかし、特にアジア人では、痩せている人にも多くみられます。首が短くて太かったり、下顎が小さいと気道が狭く閉塞されやすくなるため、体重と関係なくSASのリスクが高くなるのです。

 起床時の頭痛に悩んでいた女性は痩せ形で、小顔。診察した医師もSASに思い至らなかったのでしょう。また、SASを疑う大きな特徴のひとつが寝ている時のいびきなのですが、この女性はひとり暮らしで、「いびきがひどい」と指摘する人がいなかった。さらに女性は「頭痛=脳の異常」と考えており、日中の眠気や起床時の体のだるさと頭痛を切り離して考えていたので、より診察が難しくなったのです。

 SASと2型糖尿病の関連性のメカニズムは詳しくは解明されていません。しかし、SASによる間欠的低酸素血症(低酸素状態と正常な酸素状態が繰り返される)と、無呼吸状態から呼吸が再開するときの脳の覚醒反応が繰り返されることで、交感神経の亢進やインスリン抵抗性の悪化につながって、糖尿病の発症リスクが高くなると考えられています。

3 / 4 ページ

坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

関連記事