わざわざ「コロナ禍」というからには、それなりの人数が亡くなっているに違いない。しかしこの原稿を書いている9月11日時点で、新型コロナの死者は1412人で、「禍」というほどではない。コロナから別の病気を発症して、亡くなった人が大勢いるかもしれないが、実態は分からない。そこで厚生労働省の「人口動態調査」をもとに、死者がどれだけ増えたかを調べてみた。
まずベースとなる昨年の死亡数は、全国で約137万6000人だった。高齢者の増加に伴い、ここ数年、死亡数は毎年約2万1600人のペースで増え続けている。コロナ禍がなければ、2020年の予想死亡数は、約139万7600人に達するはずであった。
実際どうなっているのだろうか。
人口動態調査(月報・概数)の最新版は、今年4月の数字である。それと昨年同期の死亡数を比較してみると、次のようになった。
新型コロナでわかった不都合な真実
コロナ「禍」と呼べるほどの災禍なのか?死者は大幅減少
同期比5600人減…高齢者の循環器疾患死はなぜ減ったのか?
- 2020年09月18日
永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。