独白 愉快な“病人”たち

仕事ができなくなっちゃう…声優の森川智之さん喘息を語る

森川智之さん(C)日刊ゲンダイ

 後になって、親から「あなたも小児喘息だったのよ」と聞かされましたが、苦しかった記憶はないので「喘息=弟の病気」という認識でした。

 とはいえ、やはり気管支が腫れたり風邪をひきやすい体質ではありました。それでも、若くて体力があるうちは何事もなかったのに、40歳に差し掛かる頃になっていよいよ持ちこたえられなくなったんでしょうね。落ちる体力と反比例するように、仕事量がピークに達していたのでなおさらです。

 風邪ぎみの症状から咳が止まらなくなり、病院で処方してもらった風邪薬でも治まらなくなりました。ベッドで横になると跳びはねるくらい咳き込むようになり、ゼイゼイヒューヒュー言いながら病院に行ったら、「喘息です」と言われたのです。

 病名を告げられたときは、「この仕事できなくなっちゃうな」と思いました。僕の中では喘息は重い病気だというイメージがありましたし、喉を酷使する仕事ですから炎症を起こしやすい。アフレコ中はかすかな咳払いも許されない。演技の咳が引き金になって、咳が止まらなくなってしまうかもしれない……などと悪いことばかり考えてしまいました。

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