進化する糖尿病治療法

発症リスク30%減 コレステロール低下が心筋梗塞を回避させる

卵などコレステロールの多い食品は常識の範囲内で摂取を(C)日刊ゲンダイ

 それに対し、日本でのLDLコレステロールの管理目標は、1次予防では120㎎/デシリットル、冠状動脈性心疾患を一度起こした人の2次予防では100㎎/デシリットルとなっています。ただし、喫煙、メタボリックシンドローム、慢性腎臓病、末梢動脈疾患、非心原性脳梗塞、主要危険因子の重複など「ほかの高リスク病態」を糖尿病と合併している時は、2次予防の管理目標はより厳格に70㎎/デシリットルとなります。LDLコレステロールを下げたほうがいいという点については欧米と一致していますが、欧米人と日本人とではデータが違うので、日本人では「50㎎/デシリットルまで下げろ」とはならないのです。

 LDLコレステロールを下げる上で大切なのは、まず食生活の改善。食事療法や運動療法は欠かせません。卵やレバーなどコレステロールの多い食品に関しては、常識の範囲内で摂取を。コレステロールは体内で合成できる脂質で、食事で摂取するコレステロールによる影響は少ないといわれているものの、コレステロールが高い人が1日に卵を4個も5個も取ることはおすすめできません。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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