独白 愉快な“病人”たち

「死ぬんだろうな」と思った…樋口大悟さん白血病との闘い

樋口大悟さん(C)日刊ゲンダイ

■病院の反対を押し切って転院

 抗がん剤は3回やりましたが、1回目が一番きつくて、吐き気、下痢に加え、42度の高熱が10日間続きました。よほど強い薬だったとみえて、その1回目でほぼ寛解に達しました。でも2回目には肝臓をやられ、口の中には大きな潰瘍もできました。それがとんでもなく痛くて、ずっとベッドにしがみついている状態でした。もはや、痛み止めも効かないのです。

 それを受けて「歯に細菌が入っているから歯を抜く」と言いだした医師に、異論を唱えたのは母親でした。母は現役の看護師で、新潟から来てくれていたのです。「これは歯じゃない」と感じた母は、病院の反対を押し切って僕を転院させました。

 転院先はN病院で、すぐに潰瘍は良くなったんです。敗血症だったらしく、抗生剤を打ったらウソのように治りました。「同じ東京の病院でもこんなに格差があるんだ」と思いました。母は今でも「あのとき転院していなかったら、今生きていないわよ」と言います(笑い)。

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