独白 愉快な“病人”たち

紙芝居師に出会って救われた…かみはるさん股関節症を語る

かみはるさん(提供写真)
もう、障害を隠そうとは思わない

 そんな“闇”から救われたのは、専門学校2年の授業で紙芝居師に出会ったことです。今、私が所属している「渋谷画劇団」の紙芝居師が学校に講義をしに来ていたんです。

 とにかく明るく元気よく、自分の殻をぶち破って全身で表現することを求められる授業でした。私は脚が悪いので座って見学していると、紙芝居師のヤムちゃん先生から、大きな声で「具合悪いのか? 大丈夫か? 脚が不自由でも発声はできるでしょう。できないことを探すんじゃなく、できることをして!」と言われました。その瞬間、「はっ」として、だんだん先生に心を開くようになっていったのです。

 紙芝居の授業がカウンセリングのように作用して、ほかの授業にも出られるようになり、無事に卒業できました。そのうえ、卒業後はフリーターだった私に「紙芝居やりに来ないか?」と言ってくれたのもヤムちゃん先生でした。

 ただ、紙芝居師の見習になってからも脚の悪化は止まらず、25歳で松葉杖を2本使わないと移動できなくなりました。「4本足か……」と絶望しました。それまでは、人前では痛み止めを飲んで杖を使わず活動していましたが、それも限界。すっかり無気力になって、紙芝居師をやめようと思った時期もありました。でも、ヤムちゃん先生がこう言ってくれたんです。

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