科学が証明!ストレス解消法

いたずら書きしながら作業すれば集中力が高まり記憶力が増す

リモート中のいたずら書きは集中力を向上させる.

 被験者は、18~55歳の男女40人。録音テープを聞いてもらい記憶力をチェックしました。その際、落書きのように図形をなぞりながら聞いてもらうグループと、何もせずに黙々と聞いてもらうグループに分けたところ、前者の方が30%ほど録音テープの内容を覚えていたことが明らかになったのです。むしろ退屈だからこそ、注意力が散漫してしまう可能性が示唆されました。

 脳は、一定限度の量の注意力しか備わっていないといわれています。それを使い切ってしまうと、他の刺激による情報の処理が停止してしまう。こういった脳の働きを「認知負荷理論」と呼びます。例えるなら、何か高い買い物をして予算を使ってしまうと、他のものが買えなくなってしまうような感じでしょうか。

 実験を主導したアンドレイド氏は、「いたずら書きは、小さな認知的負荷しかかからない。それでいて、集中力を向上させる」と話しています。つまり、いたずら書きは費用対効果のいい、脳の集中力の使い方なのです。

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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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