独白 愉快な“病人”たち

透析が一生続くとわかって…宿野部武志さん腎不全との闘い

ピーペック代表理事の宿野部武志さん(提供写真)

 何とか社会福祉士の資格は取れましたが、もしセカンドオピニオンを受けていなかったらと思うと恐ろしい限りです。そのとき初めて「医師にお任せじゃなく、自分でちゃんと考えないといけないんだ」と、強烈に刻みつけられました。

 腎細胞がんは時間が経ってからも再発・転移するといわれているので、2008年の手術から今でも年に1回は造影剤を使った検査を受けています。でも、おかげさまで病気はあっても健康です。1回5時間の透析を週3回受けている透析患者ですけれど、やりたいことが常にあり、精神的にとても充実しています。

 僕は今、製薬会社や医療機器メーカーと、病気を持つさまざまな人の声をつなげる仕組みづくりをしています。医師や周辺情報ではなく、エンドユーザーの生の声を製品づくりに生かしてもらいたいのです。患者側も経験してきた病気の話をちゃんと聞いてもらえ、それが次のモノづくりのヒントになると知って、病気が人生にとってマイナスだけじゃなかったと思える。

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