最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

「噛めない・のみ込めない」をサポートするのが言語聴覚士

写真はイメージ(C)PIXTA

 寝たきりの患者さんでは、食欲が衰えてしまっている方も少なくありません。その場合、寝たままの状態でスプーンで食事を与えるだけでは、食べる意欲が湧いてこない。こんな時も、言語聴覚士の出番です。ベッドの角度やクッションの位置を工夫することで、視界が広がり、食べ物をしっかり目で見られるようになる。手が動かしやすくなり、自然と皿のおかずに手が伸びる。舌の位置も安定し、食事がしやすくなるわけです。

 食事ができるようになれば、体力も取り戻せ、寿命が延びることもあります。

 つまり言語聴覚士に必要なのは、知識や技術に加えて、繊細な心配り、観察力、記憶力、相手が表現したいことをくみ取る洞察力や共感力です。いわば食生活のアドバイザーである言語聴覚士は、その人らしい生活をサポートする在宅医療において、なくてはならない存在なのです。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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