最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

主役は患者 食べるものも生活リズムもすべて好きなように

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 もしも受け入れてもらえなければ、在宅医療そのものが成立しない場合も出てくるわけで、患者さんに私たちがちゃんと迎えてもらえるか否かは、とても重要なポイントなのです。患者さんやご家族も、自宅で過ごすうちに入院中にはなかった「自分たちが主役だ」という意識が強まるのでしょう。病院だと患者は同じ病衣を着て、患者らしくしなくてはいけないのですが、自宅だと本来の自分らしさを取り戻せます。

 本棚がある家、絵画が飾ってある家、缶チューハイや大五郎などの焼酎のペットボトルが鎮座している家など、本当に千差万別です。それら患者さんの生活スタイルや大事にしていることなどを受け止めながら、あくまでも私たちがお客さんなのだという意識で診療を行っています。

 かつてこんな患者さんがいました。その方はアルツハイマー型認知症を患う92歳の独居の男性で、通いの家政婦さんに毎日身の回りの世話をしてもらっていました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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