上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

コロナ禍で運動量が激減していたら「腹式呼吸」で心臓を守る

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 腹式呼吸のやり方はいくつもありますが、ひとつ具体例を紹介します。まず、背筋を伸ばしてイスに座り、お腹に手を当てたまま鼻からゆっくり大きく息を吸い込んでお腹を膨らませます。次に口からゆっくり長く息を吐き出し、お腹をへこませます。吐くときは吸い込む際の倍くらいの時間をかけて行います。3秒かけて息を吸ったら、6秒かけて吐き出すイメージです。これを5回ほど繰り返すのを1セットにして、1日朝晩2回行うとよいでしょう。

■心拍数が低くなり血圧も安定する

 腹式呼吸は、心臓に適度な負荷をコンスタントにかけられるので心臓突然死の予防効果があるとされています。また、日頃から呼吸法を行っていると呼吸が整うため、多くの場合で平均心拍数が低くなります。いくつもの研究報告で、心拍数が高い人は突然死しやすいことがわかっています。その点からも腹式呼吸は心臓の健康維持に有益といえます。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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