人の運命は分かりません。たくさんのがん患者を放射線治療で治してきた、私より10歳以上も年下の唐沢克之医師がこの春、突然、大動脈解離で亡くなりました。がん征圧に熱い情熱を持った日本では指折りの優秀な放射線治療医でした。
患者さんに優しく、いつもにこにこして前向きで、そのような態度から患者さんは希望が湧き、救われてきたと思います。研究熱心で、後輩や研修医の指導でも彼の熱い思いが伝わってきました。
先日、お願いした患者さんが彼の診察を訪れた時、わざわざ唐沢医師が私に電話をくれて、「先生! しばらくぶりです。患者さん、大丈夫です。治療できますよ!『ヴェロ(VERO-4DRT)』でいきます」と報告いただきました。その際、電話を代わった患者さんからは「頑張ります」と元気な声が聞かれました。それまで、がんが肺に再発して気持ちが落ち込んでいたのに、前向きな気持ちになれたようです。
がんと向き合い生きていく