がんと向き合い生きていく

自粛、自粛…が1年半以上続けば誰だってつらい気持ちになる

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 ある病院の副院長からこんなメールが届きました。

「コロナウイルスのデルタ株で家族感染が起こり、旦那さんは亡くなりました。今、入院中の奥さんはNHFをして、やっと落ち着いてきました。お子さんもやはり感染し入院しています」

 NHFとは、「ネーザルハイフロー」と呼ばれる鼻から高流量(30~60リットル/分)で高い精度の酸素を投与できる呼吸療法機器のことです。そして、メールはこう続きました。

「このような患者が次々と入院します。頑張って受け入れなければならない責任、病院やスタッフを守らないといけない責任で、さすがに疲れてきました。みんな同じ足並み揃えて頑張っていければと思いますが、しかし、頑張っても感染者は増えるし、若い人も重症者は少ないけれどいます。今は国全体がバラバラのようで、むなしいだけです。同じ方向に向かっていないことがきついのです」

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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