がんと向き合い生きていく

コロナ患者を診ているがん専門医からの便りで考えたこと

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 さらに9月8日、小池知事は「素晴らしい成果を上げた東京大会のレガシーを生かし、ハードとソフトの両面で豊かな街づくりを進めたい」と話されました。小池さん、その前にやることがあるでしょう?

 コロナ感染者は、家族から離してすぐに診療できる療養施設=野戦病院が必要です。オリンピックが終わり、解体される予定の仮設会場、潮風公園、有明エリアの仮設会場など、何万人も収容できる施設がたくさんあるではないですか。それらを利用して、コロナ感染者が療養できる施設を造っておく考えはないのですか?

 もし、いまは感染者が減ってきたとしても、この冬に向けて、予想される第6波に向けて、準備しておくのです。それが無駄になったとしても、それでいいでしょう? むしろそれでよかったといえるじゃないですか。

 全国の警察が扱った8月の変死体のうち、250人がPCR検査で陽性だったといいます。政府は「ワクチン2回接種が50%を超えた」と発表しています。でも、9月15日の時点では、全国で自宅療養している陽性者は6万人に上るそうです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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