がんからの出血です。気管挿管、人工呼吸器装着、緊急輸血など、呼吸器外科医と一緒にヘトヘトになりながら頑張り、この時はなんとか血圧は70㎜Hgまで回復しましたが、胸膜に入れたドレーンからの出血は続きました。
そして、がんは再び大きくなり、追加の抗がん剤治療もできずにFさんは2週間後に亡くなりました。勝算あり、治せるのではないかと考えていたのに、どんなことがあっても頑張りたかったのに……残念な思いでした。
遠方から上京し、泊まり込んでいたFさんの父親は、医師から説明を受けた後にご遺体とともに淡々と帰って行かれました。やはり覚悟を決めていたのでしょう。
後日、胸部外科、放射線治療科、病理科などが集まっての合同カンファレンスがありました。標準的な治療などはない時代です。この例に対して、誰も発言はありませんでした。
がんと向き合い生きていく