独白 愉快な“病人”たち

写真家・野村誠一さんは悪性リンパ腫に…ステージ4と告げられ動転、家内にお墓の相談まで

野村誠一さん(C)日刊ゲンダイ

 さらに「ステージ4」と言われ、その時点で死を覚悟しました。そして気が動転して家内にお墓の相談までしました。破裂するのではないかと思うくらいお腹が日に日に腫れていく中、鏡に向かって自撮りした自分の顔はまるで夢遊病者のようで、当時、まともな精神状態ではなかったことがわかります。

■抗がん剤の即効性に驚いた

 1回目の抗がん剤治療(R-CHOP療法)の点滴が始まったのは、入院1週間後からです。看護師さんは完全防護服でした。聞けば、この薬が血管以外に刺さってしまうと大変なことになり、皮膚の表面に付くのもNG。そのくらい強力な薬で、人生で8回しか打てないとのこと。それを自分は計6回打ったので、もし再発しても同じ治療はできないと言われました。

 抗がん剤の即効性が驚きでした。4~5時間の点滴が終わり、その晩、左肘を触ると、しこりが半分ぐらいの大きさになっていて、翌日には消えていたのです。「もしかしたら生きられるかもしれない」と思ったのはそのあたりからです。

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