独白 愉快な“病人”たち

写真家・野村誠一さんは悪性リンパ腫に…ステージ4と告げられ動転、家内にお墓の相談まで

野村誠一さん(C)日刊ゲンダイ

 その3日後に分子標的薬というがん細胞をピンポイントに攻撃する点滴をしました。その効果もあり、1回目の抗がん剤の後、5日目には入院して初めてお腹がすいた感覚があり、その日の食事に出てきた節分の恵方巻きの味に感激しました。

 思った以上に経過がよく、3週間と言われた入院が2週間に短縮となり、以降は通院で抗がん剤治療を続けました。幸い、副作用は脱毛だけで、気持ちが悪くなったことは一度もありません。

 おかげさまで寛解しましたが、再発しやすい一面があるそうなので、2カ月に1回、分子標的薬の点滴を2年ぐらい、経過観察をしていきます。

 今回、入院中に思ったのは、自分の“作品集”がないと、まだ何も作品を残せてないということでした。これまで、グラビアやアイドルの写真集は依頼されて400冊以上撮影をしてきましたが、自分自身の写真集は1冊しかないことに気がつきました。振り返ればアッという間だったな、「自分の作品を真剣に考えたい!」と強烈に思ったのです。

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