がんと向き合い生きていく

子宮頸がんワクチン接種の「積極的勧奨」再開で考えたこと

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 積極的勧奨とは、厚労省のホームページによると「市町村が対象者やその保護者に対して、標準的な接種期間の前に、接種を促すハガキ等を各家庭に送ること等により積極的に接種をお勧めする取り組み」としています。

■計5時間の講演会を視聴

 10月23日と11月6日、この子宮頚がんワクチンについてのWEB講演会が行われました(https://hananotani.jp/wp3/?p=690)(https://hananotani.jp/wp3/?p=821)。花の谷クリニック(千葉県南房総市千倉町白子)の伊藤真美院長が主催したもので、2人の講師により討論を含めて合計約5時間の講演でした。印象に残ったところを私なりに解釈し、要約してみます。

 講師の神経内科医師は、「ワクチンが有効であるとした比較試験の結果をそのまま受け取っていいのか」という疑問について、安全性の検証では、試験の対照群にアジュバント(アルミニウム)が使われていることなどの問題点を指摘。多人数による統計をエビデンス(科学的根拠)とすると、少数の副反応が隠れてしまうので、むしろどのような人が副反応を起こしやすいかを明らかにすべきとしています。

2 / 4 ページ

佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

関連記事