がんと向き合い生きていく

子宮頸がんワクチン接種の「積極的勧奨」再開で考えたこと

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 失神発作、頭痛、歩行異常などの症状を繰り返した患者の経過をきちんと示し、これをワクチンの副反応と考えたうえで、これら一人一人の経過を見ることがとても大切で、簡単に心因性によるものと片づけるべきではないと話されていました。

 また、ワクチン被害者の組織による国際シンポジウムで、HPVワクチン関連神経免疫症候群(HANS)の議論が行われたことも報告されました。

 講師のもうひとりは子宮頚がんの診療を行っている婦人科医師で、「ワクチン接種は感染を減らし、88%ほどがんの発症を減らせる」とお話しされました。

 がんの予防効果は10年以上経過しないと分からない。しかし、前がん状態のほとんどがHPVによるものであることが分かっており、ワクチン接種で感染を防げるのであれば、それに越したことはないとの意見です。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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