がんと向き合い生きていく

子宮頸がんワクチン接種の「積極的勧奨」再開で考えたこと

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 また、前がん状態あるいはがん初期で見つかれば、子宮頚部の円錐手術で済む。流産や不妊の原因になる可能性はあるものの、命に関わることはないとのことでした。加えて、HPVに感染したかどうか自分自身で検査可能なHPVのDNAを調べるキットはあるが、使用時に痛みがあるため正確に使うのが難しく、改良が必要だと指摘されています。

 講演後の討論では、某国ではワクチンを買うお金がなく、接種できない代わりに検診がしっかり行われている。すでに男性も接種している国があるといった現状も取り上げられました。

 講演会を拝見して、対象となる女性は積極的推奨が再開となった理由を含めて詳細な説明を受け、接種するか、しないかを親と一緒に判断していただくしかないと思いました。また、万が一、HANSなどの副反応が起こった場合のしっかりした対応を確立することが大切であると考えました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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