上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

小腸閉塞で入院 最新の内視鏡検査を体験し身をもって進歩を感じた

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 思い返してみると、たしかに数日前に生のイカを食べています。土曜の外勤を終えたあと、病院に戻ってやるべき作業がありました。最寄り駅に着いたとき、腹ごしらえしておかなければと思い立ち、たまたま駅前にある回転ずし屋に入り、イカを含めて7皿ほどいただきました。それくらいしか思い当たる節はありません。

 入院翌日には、イレウス管が狭窄部位を通過して腸の腫れも引いているのがレントゲンで確認できました。3日ほどですべての症状は改善しましたが、食事の再開前に、万が一を考えて腫瘍がないかどうかを確認するため、小腸内視鏡検査を受けました。小腸は5~7メートルもある長い臓器で、曲がりくねった状態で腹部に収まっています。そのため、一般的な内視鏡では観察が難しいとされていました。しかし、2000年代に入り、スコープにバルーンを装着し、小腸をアコーディオンのように折り畳みながら挿入するダブルバルーン小腸内視鏡が考案され、観察が可能になりました。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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