上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

1週間の入院生活で感じた「感染対策」と「病院食」の重要性

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 そうした経験から、退院後も公共の場で設置してあれば、意識して必ずアルコール消毒を行うようになりました。会社勤めしているような一般の人たちも、感染対策や生活習慣をあらためて見直す意味でも、人間ドックなどで短期入院してみるのもいいかもしれません。

■薄味でまずいと言われるが…

 入院生活中には、食事のありがたみも痛感しました。寄生虫のアニサキス疑いによる小腸閉塞で、イレウス管と呼ばれるチューブを鼻から小腸まで挿入し腸管内を減圧する処置を行っていたため、当初は食事ができませんでした。数日後に全ての症状が治まり、イレウス管が外れてからいわゆる病院食が出るようになり、重湯から始まって徐々に固形食になっていったのですが、その病院食のなんとおいしかったことか。病気をすると、食事が何より楽しみだという患者さんの心境が、あらためてよくわかりました。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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