原発不明がんの治療薬が世界初の承認 治療はどう変わるのか

原発巣が不明の場合、治療が立てにくかったが…(C)日刊ゲンダイ

 こんな不幸なケースがある。70歳男性で食欲不振、疲労感、体重の著しい減少からクリニックを受診。胸部レントゲンで肺に多発腫瘤影が見られ、呼吸器内科を紹介された。

 呼吸器内科医は転移性の肺腫瘍と診断。しかし検索しても原発巣が見つからなかった。PET-CTで膵臓に異常集積があり、男性は紹介された消化器内科へ。

 消化器内科医は検索をしたものの膵臓に原発巣を確認できず、この時点で2カ月が経過。患者は体力低下で治療意欲も低下。これ以上の検査はされたくないと中川医師の腫瘍内科を受診。原発不明がんと診断されたが、治療開始に適したタイミングは過ぎていた。

「予後良好な原発不明がんであっても、またはニボルマブを使っても、がんの治療は体力が落ちてからでは治療成績が悪い。原発不明がんでは、過剰な検査は避けなければなりません」

 原発巣がなかなか見つからないようなら……。患者側としては、がんに特化し臓器を横断的に診る腫瘍内科を擁する医療機関を受診することを覚えておきたい。

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