科学が証明!ストレス解消法

アドバイスをすると「認知的不協和」が生じ成果が上がる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 この実験の面白いところは、励ます時に具体的に教える方が、より効果があったという点です。

 人に伝えている一方で、実は自分の中で確認も行っていて、自分に言い聞かせている……。そういったアドバイスや励ましを行った先輩に、成績向上が見られたそうです。

 たとえば、会社で先輩が部下に、「あきらめるな! 〇〇をすれば大丈夫!」と励ます背景には、自分自身に対して「〇〇が大事」と言い聞かせている側面もあるというわけです。「人の弱点を見つける天才よりも、人を褒める天才がいい」とは松岡修造さんの言葉ですが、真剣に、情熱を持ってアドバイスをする。なぜ松岡さんが人気者なのか納得ですよね。

 先の実験では、自信とモチベーションに関しては、アドバイスを受けた側よりも、アドバイスをした側の方が伸びていたほどです。励まし甲斐のある、と言ったら変な言い方かもしれませんが、お互いにアドバイスを送り続けられるような関係をたくさん築けると、人生は豊かになるといえそうです。良い先輩になりたければ良い後輩を育てる。そのためには、人を戒めるより励ますことを意識してみてください。

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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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