上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

カテーテルによる補助人工心臓はさらに進化する可能性もある

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 たとえばクルマで考えてみると、近年、飛躍的に進化しているEV(電気自動車)は、それまでのガソリン車のようなエンジンは搭載されておらず、バッテリー、モーター、制御装置によって動きます。バッテリーが供給する電力によってモーターが回転し、走行するのです。さらに、回転するモーターは発電機の役割も担って電気を発生させ、バッテリーに送られて再び利用されます。

 一般的なEVは、従来のエンジンがあった場所にモーターが配置されています。しかし、技術の進化によってモーターが小型化され、新しいEVでは、前2輪と後2輪のホイール内に1個ずつモーターを配置して制御するタイプが登場しています。1モーターよりも、2モーターの方が当然ながらパワーは大きくなります。さらに、いまは前後の4輪それぞれに計4個のモーターを搭載する4モーターの開発が進んでいます。より車体をコントロールしやすく、操作性や操縦性が高まるといわれています。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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