男性は、同院血液内科に入院して化学療法を行いました。悪性リンパ腫に対する標準的な治療は、CHOP療法(シクロフォスファミド《商品名エンドキサン》、ドキソルビシン《同アドリアシン》、ビンクリスチン《同オンコビン》、プレドニゾロン《同プレドニン》の4剤を使う化学療法)を参考にして、オンコビンの代わりに「アドセトリス」という抗体薬物複合体を使う治療となりました。
これを1回実施したところ、表在リンパ節腫大は消え、発熱もなくなったのです。男性はとても元気になって、1カ月後に2クール目を行うことになりました。
この男性のように、悪性リンパ腫の種類によっては、がん細胞の表面にCD30というタンパク質の発現が見られることがあります。このCD30を標的として結びつくように遺伝子工学の手法でモノクローナル抗体がつくられ、その抗体に抗がん剤を組み合わせたのがアドセトリスです。
がんと向き合い生きていく