一般名は「ブレンツキシマブベドチン(微小管阻害薬結合抗CD30モノクローナル抗体)」で、つまりがん細胞に結合する抗体と抗がん剤を組み合わせた抗体薬物複合体なのです。CD30を目印にしてがん細胞にくっつき、細胞の中に取り込まれ、細胞の中で抗がん剤がDNAを障害しダメージを与えます。同時に投与されたドキソルビシン、シクロフォスファミドは従来通りの抗がん剤で、特別にがん細胞だけを標的として作用するわけではありません。
■特殊なタンパク質に対する免疫を利用
抗体薬物複合体としてつくられた薬剤は、ほかにHER2を標的とした「エンハーツ」(一般名トラスツズマブデルクステカン)があります。乳がんや胃がんに使われます。がん細胞の細胞膜上に発現するHER2に結合し、細胞内に取り込まれた後にカンプトテシン誘導体(MAAA-1181a)がDNA傷害作用とアポトーシス誘導作用を示すことなどにより、がんの増殖を抑制すると考えられています。
がんと向き合い生きていく