また、「パドセブ」(一般名エンホルツマブベドチン)は、細胞間の接着に関連するタンパク質であるネクチン-4を標的とした抗体薬物複合体です。ネクチン-4と結合することで細胞殺傷物質が放出され、がん細胞の増殖抑制と細胞死を誘導して効果を発揮します。ネクチン-4は尿路上皮がん細胞に多く発現することから、膀胱がんなどに使われます。
このように、がん細胞表面に特殊なタンパク質の発現があれば、そのタンパク質に対する抗原抗体反応を利用した抗体薬物複合体ががん細胞に結合し、効果を発揮します。
近年は、こうした免疫を利用した抗がん薬が開発されているのです。
これまでは、たくさんの患者の治療成績の統計から標準治療が決められてきましたが、科学技術や遺伝子工学の進歩によって、より個々のがんに合った個別治療の薬剤開発が進んでいます。さらに多くの種類の、それぞれのがんに対しての薬剤の開発が期待されます。
がんと向き合い生きていく