高齢者の正しいクスリとの付き合い方

この世の中に「副作用」のないクスリは存在しない

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 クスリが体に合わないことで、アレルギー症状が出る場合もあるでしょう。これも立派な副作用です。副作用には重篤なものと軽微なものがあり、クスリの中には重篤な副作用は持っていないものも確かにあります。ただ、そういったクスリでも軽微な副作用は必ずあります。大事なことなので繰り返しますが、世の中に副作用のないクスリはありません。

 クスリは誰にとっても「異物」に変わりありません。ただし、クスリを使わなければならない人というのは、そういった異物の“チカラ”を使って体の調子を整えなければならない状態でもあります。そして、異物である以上、多かれ少なかれ副作用のリスクは存在します。特に高齢者は、体のあらゆる機能が低下しているため、副作用のリスクは大きくなってしまうのです。

 ここで重要なのは、「われわれ医療従事者もどんな副作用がどんなタイミングで出てくるかはわからない」ということです。そんな無責任な、と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、それが事実ですし、それがわかればわれわれも苦労しません。クスリの説明書にはさまざまな副作用や注意点について記載されていますが、残念ながらそのどれかの症状が出てしまう人もいますし、当然のようにまったく何も出ない人もたくさんいます。

 では、そういった副作用とどのように付き合っていけばよいのでしょうか。次回は、私が患者さんに説明する際に必ずお伝えしている「もっとも大事」で「どのクスリにも当てはまる」言葉とともに、副作用との付き合い方についてお話しします。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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