CKDは、「血清クレアチニン値」と「eGFR(推算糸球体濾過量)」という2つの指標と、「尿中のタンパク質」から評価します。重症度に応じて6段階に分類され、ステージ1と2は正常またはたまに腎機能の数値が悪化する軽度低下、ステージ3aと3bでは本格的な治療が検討されます。悪化してステージ4になると高度低下と呼ばれる重症のCKD、ステージ5は末期腎不全で人工透析を行う必要があります。
■ステージ2~3のCKDが目立つ
心臓手術が検討される患者さんにCKDがある場合、ステージ2か3の人が多い印象です。心臓疾患の治療は、まずは循環器内科で行われることがほとんどですが、患者さんのステージが2か3の段階になると、手術を受けるために心臓血管外科に回ってくるケースが多いのです。
たとえば、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患では、循環器内科でカテーテルを使った冠動脈のステント治療が実施されます。その際、血管の狭窄の状態を確認するために使われる造影剤は、腎臓への血流障害や尿細管障害を起こし、腎機能を悪化させてしまいます。そうした治療によって、患者さんのCKDのステージが2から3に進んでしまったり、3が4になりかけているような場合、良心的な循環器内科医は、その時点で造影剤によるさらなる腎機能の悪化を予測し、外科手術を選択するのです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」