ほかにもいくつかの降圧剤は慎重投与となっていて、腎機能が悪い人に対しては投与量をしっかりとコントロールする必要があります。また、近年はあまり使われませんが、強心薬のジギタリスなどは、腎機能が悪化している場合はGFR(糸球体濾過量)を確認しながら、投与量を調整しなければなりません。
このように心臓の治療で使われる薬が制限されることで、CKDがあると心臓の管理が不十分になり、悪循環に陥ってしまうのです。
■専門医はより細やかな管理ができる
実際、心臓手術では腎臓にトラブルがある人が増えています。単独の冠動脈バイパス手術だけで見ると、全体の6~7%は人工透析を受けている患者さんです。また、CKDがある患者さんは全体の12~13%を占めています。
かつては、人工透析患者の手術はしないという医療機関も少なくありませんでした。手術中は、血圧が大きく変化したり、人工心肺装置の使用で出血が多くなり大量輸血が必要になったりしたからです。しかし近年は、すべての腎機能障害例で通常通りに手術が実施されるようになっています。手術中に腎臓を保護して負担を減らしながら、手術を行う方法が進歩してきたためです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」