老親・家族 在宅での看取り方

夫を自宅で看取った80代女性「自分も自宅で旅立ちたい」

写真はイメージ

 いよいよ入院しなければならないか、となった段階で、ご主人の在宅医療を通して交流があった私たちのクリニックに相談の電話をかけてきてくれました。「一人暮らしでも、入院せずに、在宅で治療を受けられますか?」と。

 一人暮らしでも、最期を自宅で迎えるのは十分に可能です。ケアマネジャーが早速Aさん宅に赴き、環境整備をしました。具体的には、トイレに手すりを導入する、毎日のように看護師さんやヘルパーさんが家に来られるように手配するなど。現行の医療保険に加え、介護保険が適用となるため、費用の面でも負担は大きくありません。

 当然ながら、治療は私たちがご自宅まで伺いますから、階段の上り下りができなくても問題ない。食料品など日常生活で必要なものの購入も、ヘルパーさんたちによって対応できます。

 在宅医療を行うクリニックのスタッフは、緊急時にはいつでも駆けつけられるよう、24時間いつでも稼働していますので、何かが起こった時も、心配ありません。そもそも、ご家族と同居していても、療養中、ご家族が常に自宅にいるというわけではありませんからね。

 あと3~4年もすれば団塊の世代がすべて後期高齢者となり、超高齢化時代の本番を迎えます。高齢者の一人暮らしは当たり前となってくる中で、一人暮らしの「自宅で最期まで」も、当たり前になってくることと思っています。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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