データが語る 令和高齢者の実像

「65歳は高齢者ではない」時代へ…8年後には3割が該当

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 これが高齢者対策における、政府の基本スタンスです。思わずツッコミを入れたくなる人も多いことでしょう。しかしこの認識に立脚して、国や地方のさまざまな施策が組み立てられているのです。たとえば雇用を70歳まで延長しようというのも、年金支給年齢をできるだけ繰り下げようというのも、ここから導かれる当然の帰結です。NISAによる所得倍増プランも、サラリーマンの老後資金対策という側面を持っています。

 大綱の文言にかかわらず、高齢者対策が待ったなしであることは、論をまちません。今年の高齢社会白書によれば、昨年(2021年)10月現在の日本の総人口は1億2550万人、そのうち高齢者(65歳以上人口)は3621万人。人口の28.9%が高齢者で占められているのです。しかも国立社会保障・人口問題研究所の予測によれば、この数字は今後さらに上昇する見込みです。25年に30%に達し、30年には31.2%、35年には32.8%になるとされています。

 これだけ高齢者が増えると、従来の社会保障システムが遠からず破綻することは明らかです。いや、すでに破綻しているとの指摘も多数あります。社会そのもののあり方を変えていかないと、高齢化に対応できなくなってきているのです。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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