がんと向き合い生きていく

ステージ4の前立腺がんでも抗がん剤が劇的に効くことも

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 およそ2時間後、診察室に呼ばれ、「肺に腫瘤の影があります。胸椎、腰椎の骨にも問題がありそうです。詳しく調べてみましょう」と言われました。「がんでしょうか?」と尋ねると、「その疑いがあります」との答えでした。それで1週間後、採血の追加検査、肺のCT検査、骨シンチグラムの検査が行われることになりました。

 がんの疑いと聞いて、愕然としました。2人に1人はがんになる時代と聞いていましたが、とうとう自分にもきたか。それにしても肺と骨にがんがあるとすると、もう、末期なのかもしれない……。仕事をどうするか、離れて暮らしている息子にはいつどう話すか、お墓は、お金は……いろいろな思いが頭の中を堂々めぐりして、不安が募りました。

 それでも、「まだがんと確定したわけではない。検査が終わってから考えよう。良い結果だってあるかもしれない」と、自分で自分を励ましていました。

2 / 4 ページ

佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

関連記事