認知症を予防する補聴器のすべて

目の前の難聴者は今「聞く」状態か、それとも「聴く」状態か

写真はイメージ

 かつての志村けんさんのコントみたいに、言葉の意味を取り違えてしまったり、臆測で話してしまうことでトンチンカンなやりとりになってしまいかねないのです。

 前回のコラムで、「きく」という言葉には5種類の同音異義語(聞く、聴く、訊く、利く、効く)があると紹介しました。目の前に難聴者がいたら、果たして「聞く」状態なのか、それとも「聴く」なのかを考える必要があるわけです。

 補聴器をつければ今まで聞けなかった音を「聞く」ことができます。それにより人の話や音楽を「聴く」ことができます。また会話をしていく中で相手に疑問に思ったことを「訊いて」、初めて双方向のコミュニケーションが成り立ちます。まさにその瞬間に補聴器が利いている(役に立っている)わけです。

 こういった「きく」に対して思いやりの輪が広がり、加齢による難聴を抱える多くの方が補聴器を当たり前につけるようになることで、日本の健康寿命の伸長に補聴器が「効いた」社会が訪れたと言えるのではないでしょうか。

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田中智子

田中智子

シーメンスの補聴器部門でマーケティングの勤務を経て、2020年補聴器販売会社「うぐいすヘルスケア株式会社」設立。認定補聴器技能者資格保持。

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