上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓病の改善や予防に効果があるサプリメントはほとんどない

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 オメガ3系脂肪酸は、「血管の収縮や血小板凝集を引き起こすトロンボキサンの合成を阻害して動脈硬化を抑制する」「オメガ3系脂肪酸を摂取すると体内で生成される脂肪酸代謝物が心臓の炎症や線維化を抑制して心臓を保護する」といった作用が知られているため、心臓病の改善や予防効果が期待されているのです。

 ただ、これも研究によって結果はまちまちで、決定的な結論は出ていません。おおむね「オメガ3系脂肪酸の魚油サプリメントは、心臓発作や心血管疾患イベントのリスクを低下させる可能性がある」という程度に考えておけばいいという印象です。

 ちなみに、米国心臓学会は「心臓病のリスクが高く、食事で魚などを十分に摂取できない場合」は、オメガ3系脂肪酸のサプリメントを利用することを勧めています。一方で、オメガ3系脂肪酸サプリメントの過剰摂取は心房細動の発症リスクを高める可能性があるという研究報告もあるので、取りすぎには注意が必要でしょう。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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