Dr.中川 がんサバイバーの知恵

前立腺がんは遺伝子変異が関係?予防的摘出も W杯オランダ代表監督は放射線で克服

選手には内緒で通院(C)ロイター/Sipa USA

 1回の照射時間は2分ほど。患者さんは服の着替えも必要なく、照射する寝台に寝ているだけ。あらかじめ計画された照射位置の微調整や寝台の調整などの時間を含めて入室から退室までわずか7分です。これなら仕事と治療の両立も難しくはなく、福岡や大阪から来られる方も珍しくありません。

 前立腺がんは、細胞を採取して調べる悪性度によって、低リスク、中リスク、高リスクに分かれます。中リスクと高リスクでは、放射線治療の前にホルモン治療をプラス。ホルモン剤は3カ月に1度の注射ですから、これも通院の負担は少ないでしょう。

 気になる医療費は、手術が約150万円で、38回照射の放射線が約120万円になります。5回照射だとさらに安く、約63万円です。患者さんの自己負担はそれぞれ1~3割になります。高額療養費制度も使えるので、費用面でも5回照射にメリットがあるでしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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